【iPaaS】Integromat(インテグロマット)とは?特徴・料金・活用例など徹底解説
2021.12.26
8 min read
- Integromat(読み方:インテグロマット)って、どんなサービスなのか、気になる…
- Integromatって、どんなことができるの…?
- Integromat という iPaaS を知ったけど、実際のことろ、どうなんだろう…
このような疑問にお答えすべく、本記事では iPaaS の一種である Integromat をわかりやすく解説しました。
Integromat 含む様々な iPaaS を実務で使用した経験から、Integromat の特徴や料金、向き・不向きをまとめています。
Integromat の理解を深めたい方は必見です!
Integromat の始め方・使い方を知りたい方は以下の記事をご覧ください! →【無料 iPaaS】Integromat の始め方。基本的な使い方も解説!
Integromat とは?
Integromat を一言でまとめると、色々なサービスをノーコードで簡単に連携し、自動化できるサービスです。
より踏み込んだ説明をすると、Integromat は海外製の iPaaS になります。
iPaaS とは Integration Platform as a Service の略語で、様々なサービスを連携させ、業務効率化・自動化を支援するサービスです。
より噛み砕いてまとめると、様々なサービスの機能やデータを橋渡しするサービスになります。 引用:iPaaS とは?メリット・導入コストなど初心者向けに徹底解説
Integromat を使えば、非エンジニアでもノーコードかつ直感的に、Gmail や Facebook など各サービスを横断した業種フローを簡単に自動化できるのです。
Integromat で各サービスを繋げている様子
Integromat の活用事例
実際に、私が Integromat を使って自動化した業務を一部、紹介します。
- Google スプレッドシート(以降、GSS と略)の情報から、メール一括送信
- GSS で管理した URL を、一括で短縮
- 毎朝 6 時に、Google アナリティクスのレポートを、チャットアプリに共有
GSS の URL を一括で短縮している様子
Google アナリティクスのレポートを Slack へ自動共有・GSS でも管理
このように、Integromat を使えば、様々なサービスを簡単に連携でき、業務の自動化を推進できます!
Integromat の基本用語
Integromat では、頻繁に登場する以下2つの用語さえ抑えておけば、大丈夫です!
- モジュール (module):単体の機能
- シナリオ (scenario):各モジュールが連携した全体のフロー
シナリオとモジュールのイメージ
以下のように、モジュールには様々な種類があります。
- Gmail などサービスとしての機能
- 条件分岐などロジックとしての機能
- 文字変換など文書解析を行うような機能
- etc…
そして、各モジュールを連携し、1つに繋げたフローがシナリオとなります。
Integromat の特徴
Integromat には、他の iPaaS と比べて、以下のような特徴があります。
- 連携できるサービスが豊富
- リーズナブルな料金プラン
- シナリオの UI が ◎
- 繰り返し処理が得意
それぞれ、詳しく解説していきます。
連携できるサービスが豊富
Integromat は一般的な iPaaS と比べて、連携できるサービスが豊富です。さらに、連携したサービスの細やかな機能も使える上に、制約も非常に少ないため、利便性も ◎ で す。
出典:Docs | Integromat Help Center
例えば、GSS から行データを取得する場合、Zapier では Max 10 〜 20 件という制約がありますが、Integromat では、制約が一切ありません。
また、ロジックや構文解析など多機能なモジュールも豊富なため、Integromat を使えば、高度な業務の自動化もできます。
出典:Docs | Integromat Help Center
👇 例えば、高度な条件分岐も Integromat では可能ですが、他の iPaaS では実現できません。
出典:Example of a Default route configured for a router Help Docs | Integromat Help Center
Integromat には、他の iPaaS では成し遂げられない自由度も兼ね備えています。
良心的な料金プランあり
優秀な iPaaS は法人向けのプランが多く、月額の料金は高くなりがちです。しかし、Integromat では、個人レベルのリーズナブルなプランも用意しています(詳細は後述)。
また、無料プランに関しても、Integromat には、モジュール数の制約がありません。一般的に殆どの iPaaS は無料プランの場合、連携できる数にキツめの上限(最大2〜3つ)があります。
そのため、色々な自動化や機能を試したい人には、Integromat はうってつけです。
シナリオの UI が ◎
一般的に iPaaS は色々な機能を連結していくと、見通しが悪くなり、直感的に何をやっているのか、わからなくなることが多くなりがちです。
Zapier の場合、連結する数が増えると、カオスになりがち
一方で Integromat はシナリオの UI が良く、直感的にどんなことをしているのか、理解しやすいです。
👇 条件分岐が複雑になっても、イメージしやすいシナリオ 出典:Send new Instagram media (both images and videos) to Telegram Bot
繰り返し処理が得意
一般的に iPaaS は繰り返し処理が苦手です。iPaaS は川のように、上から下へと一方通行で処理するため、繰り返し処理で行き詰まるケースが多々あります。
一方で Integromat では、繰り返し処理に対応できる仕様になっており、一括処理も簡単に実現できるのです。
繰り返し処理が得意という特徴は、間違いなく Integromat の強みでしょう。
2021.12.27 時点で、Zapier にも繰り返し処理をできる機能やデータを一括送信でkが追加されました。しかし、Integromat と比べると、まだまだ足りないなぁ…という印象です。
【微妙な点】トリガーが定期実行
ここまで良い特徴をお伝えしましたが、微妙な特徴もあります。それは、トリガーが全て定期実行になってしまうことです。一言でまとめると、Integromat は省エネではありません。
一般的に iPaaS は定期実行の設定をしない限り、アプリなどのアクションがトリガーになります。しかし、Integromat では、アクションの有無を定期実行で監視する仕組みとなっています。
👇 メール受信 → チャット共有する場合の違い
その結果、Integromat ではアプリなどのアクションがなかったとしても、定期実行によってシナリオが無駄に実行されてしまいます。
Integromat でアクションを定期的に監視したい場合、キャパシティに注意しましょう。
Integromat の料金プラン
上述した通り、Integromat にはリーズナブル(特に BASIC・STANDARD)なプランもあります。
プランの中で最も気をつけるべき項目は、オペレーション数の上限値(月間)です。なぜなら、シナリオによって、簡単にオーバーしやすい項目だからです。
オペレーション数とは、モジュールが処理した数を意味します。モジュールの数ではないため、ご注意ください。
例えば、下図のようなシナリオの場合、シナリオを1回実行して成功すると、オペレーションの合計数は 7 (1 + 3 + 3
) になります。
出典:Counting the Number of Operations Help Docs | Integromat Help Center
順番 | モジュールの役割 | オペレーション数 |
---|---|---|
1番目 | インスタから画像を複数ダウンロード | 1回 |
2番目 | 3種類の画像をリサイズ | 3回 |
3番目 | リサイズした3種類の画像をアップロード | 3回 |
仮に 15 分毎に、オペレーション数が 3 のシナリオを定期実行するとします。すると、オペレーション数の合計値は以下のようになります。
時間 | 起動数 | オペレーション数 |
---|---|---|
1 時間(60 分) | 4 回 (60 ÷ 4 ) | 12 回 (3 × 4 ) |
1 日(24 時間) | 96 回 (60 × 24 ÷ 4 ) | 288 回 (3 × 96 ) |
1 ヶ月(30 日) | 2,880 回 (30 × 60 × 24 ÷ 4 ) | 8,640 回 (3 × 2880 ) |
STANDARD のオペレーション数の上限値である 40,000 のうち、約 20% も占領してしまうことがわかります。
定期実行の頻度の多いシナリオが増えると、オペレーション数の上限値を超えやすくなるため、注意しましょう。
詳細は公式の料金プランをご覧ください。
定期実行の頻度が少ないシナリオ(例:1日1回、週1回など)であれば、オペレーションの合計数が抑えられるため、そこまで問題ありません!
無料プランについて
Integromat の無料プランは他の iPaaS よりも良心的な印象があります。
- モジュール数の制約なし
- シナリオの試作品であれば、無限に作成可能
- 高機能なモジュールも使用可能
無料プランでも、高機能な自動化シナリオを作成できるのです。
ただし、オペレーション数の上限値(月間)が 1,000 のため、定期実行の頻度が少ないシナリオでないと、実運用は厳しいです。
また、稼働できるシナリオは最大2つ等の制約はあります。詳細は公式の料金プランをご覧ください。
逆にいえば、定期実行の頻度が少ないシナリオや、手動でシナリオを実行する運用であれば、無料プランでも大丈夫です!
Integromat の向き・不向き
特徴や料金プランを踏まえて、Integromat が最適なケースと不向きなケースを解説します。
最適なケース
以下のようなケースの場合、Integromat は最適です。
- 決まった期間ごとで行う業務を自動化したい
- 月1回・週1回・日1回など、定期実行するシナリオなら ◎
- データを丸ごと取得して、一括処理したい
- 無料プランで色んな試作品を作りたい
- 不定期ではあるが、面倒な業務なため、自動化したい
- 手動でシナリオを実行する運用にすれば ◎
ネックとなるオペレーションの合計数が抑えられるケースであれば、Integromat はコスパ最強です!
不向きなケース
一方で、以下のようなケースの場合、Integromat は不向きです。
- アクションがトリガーとなるシナリオを大量に作りたい
- 定期実行の頻度が多いシナリオ(例:5分に1回実行など)を作りたい
上記のケースになると、どうしてもオペレーションの合計数が大きくなるため、コストが大きくなる懸念があります。オペレーション数を自分で調整できれば大丈夫ですが、長期的に考えると、他の iPaaS の方がコストを抑えやすい印象です。
おわりに
以下、まとめです。
- Integromat とは、iPaaS の一種
- Integromat の特徴
- Good
- 連携できるサービスが豊富
- リーズナブルな料金プラン
- シナリオの UI が ◎
- 繰り返し処理が得意
- 微妙
- トリガーが全て定期実行
- Good
- Integromat の向き・不向き
- 最適なケース
- 決まった期間ごとで行う業務を自動化したい
- データを丸ごと取得して、一括処理したい
- 無料プランで色んな試作品を作りたい
- 不定期ではあるが、面倒な業務なため、自動化したい
- 不向きなケース
- アクションがトリガーとなる自動化を大量に行いたい
- 定期実行の頻度が多いような自動化をしたい
- 最適なケース
Integromat は強みと弱みがハッキリとしているからこそ、最適なケースで使用すると良いでしょう
本記事で Integromat を始めてみたい、使ってみたいという方は【無料 iPaaS】Integromat の始め方。基本的な使い方も解説をご覧ください!