ヘッドレス CMS のメリットとデメリットを開発・ビジネス視点で解説

2021.11.24

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WEBMARTECH LABヘッドレス CMS のメリットとデメリットを開発・ビジネス視点で解説
  • ヘッドレス(Headless) CMS が凄いらしいけど、従来の CMS で十分だと思ってしまう…
  • ベンダーによって、ヘッドレス CMS のメリット・デメリットが違いすぎる…

このような悩みを解決すべく、WordPress のような従来 CMS をメインに比較しながら、ヘッドレス CMS のメリット・デメリットを解説。

WordPress もヘッドレス CMS も実務で運用したからこそ、開発とビジネスの両視点でフラットにまとめました。従来 CMS or ヘッドレス CMS の検討で悩まれている方の参考になれば幸いです。

従来 CMS も詳しく知りたい方は、従来 CMS の特徴やメリット・デメリットも併せて、ご覧ください! ヘッドレス CMS の詳しい解説は後日に公開する予定です。

ヘッドレス CMS のメリット

ヘッドレス CMS の具体的なメリットは9つあります。

  • 圧倒的な Web パフォーマンスを実現しやすい
  • 開発陣への依頼コストを削減できる
  • サーバーの保守・運用コストを削減できる
  • セキュリティリスクを抑えやすい
  • 既存サイトやアプリへの CMS 導入が簡単
  • 複数デバイスに配信できる
  • 変化に強いシステム構築にできる
  • CMS の開発工数を圧倒的に削減できる
  • 柔軟にコンテンツの型を簡単を生成できる

それぞれ順番に解説します。

圧倒的な Web パフォーマンスを実現しやすい

Web サイトやオウンドメディアの運営において、Web パフォーマンスを高めることは非常に大切です。

Web パフォーマンスが悪化し、Web ページの表示速度が遅くなると、以下2つの悪影響が発生し、売上などビジネスに大打撃を与えます

  1. 表示遅延が増えるほど、ユーザーは離れていく
  2. 表示速度が遅すぎると、検索順位(SEO)に影響し、集客数がダウン

引用:Web ページの表示速度が遅いと、重めの悪影響があるので要注意 | WebMarTech Lab

ヘッドレス CMS を使うと、WordPress などの従来 CMS と比べて、Web パフォーマンスを圧倒的に高めやすいです。(理由や仕組みは後日に解説)

パフォーマンスのチューニングがしやすいのは、ヘッドレス CMS の特権と断言できます。

開発陣への依頼コストを圧倒的に削減

Web 周辺の保守・運用を外注、もしくは社内の開発陣にお願いしている場合、ちょっとした編集などの依頼コストが積み重なります。

その結果、PDCA のスピードが遅くなりがちです。ヘッドレス CMS を使えば、開発側とコンテンツ運用側を分離できるため、開発陣への依頼コストを圧倒的に削減できます。

マーケター含む現場はコンテンツの作成や運用、開発陣は見た目の改修に集中でき、チーム全員がハッピーです。オペレーションを改善でき、高速な PDCA を実現できます。

サーバーの保守・運用コストを削減

WordPress やフルスクラッチ(独自 CMS の開発)の場合、一般的にサーバーの保守・運用を自分たちでやらなくてはいけません。一方で、ヘッドレス CMS であれば、ベンダー(運営会社)にサーバーの保守・運用をお任せできます。

ここで、こんな疑問を抱くかもしれません。

ヘッドレス CMS 周辺のサーバー管理は問題なくても、Web サイトを配信する Web サーバー(見た目の部分)の保守・運用は必要なのでは…?

実は、Web サーバーの保守・運用もお任せできる時代になっています!

近年、低価格(基本無料)・超簡単・高速で Web 配信できるサービスが多数あります。このようなサービスはホスティングサービスと呼ばれ、サーバーの保守・運用を肩代わりしてくれるのです

つまり、ヘッドレス CMS を使えば、基本的にサーバーレス(サーバーを持たない)で Web サイトやオウンドメディアを運営できます

セキュリティリスクを抑えやすい

WordPress などの CMS を使う場合、ログイン周辺などのセキュリティ対策を自分たちでやらなくてはいけません。 参考:【Web サイト視点】WordPress のメリットとデメリットを解説【ホームページ制作】 | WebMarTech Lab

一方で、ヘッドレス CMS であれば、CMS 周辺の高度なセキュリティ対策をベンダーにお任せできます。

ログインが必要ない静的な Web サイトやオウンドメディアであれば、より最小限にセキュリティを抑えられます。(仕組みは後日解説)

CMS の開発工数を圧倒的に削減

CMS をフルスクラッチで開発しようとすると、非常に大変です。完成までに時間がかかるでしょう。

一方で、ヘッドレス CMS を使えば、CMS 開発分のリソースを補えます。開発テストも必要ありません。

ヘッドレス CMS を使えば、すぐに CMS の機能を導入できるため、ビジネスで大切なスピードも落ちません。

既存サイトやアプリへの CMS 導入が簡単

既存の Web サイトや Web アプリケーション、モバイルアプリなどに対し、スポットで CMS を使いたい時も、ヘッドレス CMS は大活躍します。

  • プレスリリース一覧
  • バナー広告などのクリエィティブ
  • コンバージョン周辺
  • etc…

一部のコンテンツ管理をするためだけに、CMS をフルスクラッチで開発するとなると、費用対効果(コスパ)は微妙です。しかし、ヘッドレス CMS を使えば、簡単に CMS の機能を導入でき、オペレーション改善にも活かせます!

複数デバイスに配信できる

ヘッドレス CMS はあくまで、コンテンツ管理に特化しているため、Web だけでなくモバイルアプリなど、様々なデバイスにコンテンツを配信できます。

例えば、同じような PR 情報を Web サイトだけでなく、モバイルアプリにも配信したいとします。同じコンテンツを手動で管理すると、オペレーションもコンテンツ管理の方法も煩雑になりやすいです。

しかし、ヘッドレス CMS を使えば、PR 情報を一元管理できるため、楽ちんです!

様々なデバイス(スマホやスマートウォッチなど)・チャネル(Web やアプリ、LINE など)をデジタルデジタルマーケティングの視点から考えても、ヘッドレス CMS は重宝します。

噂されている AR グラスにも、ヘッドレス CMS なら簡単に対応できそうです!

変化に強いシステムを構築できる

現在、テクノロジーの著しい進化によって変化の早い時代となり、フットワークの軽さを意味する改修や移行コストも重要になりました。ヘッドレス CMS はコンテンツ管理に特化しているため、様々な変化に対応しやすいです。

一方で、WordPress などの従来 CMS は、変化に弱い傾向にあります

WordPress はコンテンツ(データ)と見た目(ビュー)が一心同体のため、改修した時の影響範囲が広くなりがちです。そのため、大きな改修や、サーバーの引っ越し等の移行コストが極めて高いです。

引用:【オウンドメディア視点】WordPress のメリットとデメリットを解説【ブログ含む】

ヘッドレス CMS を使えば、変化に強いシステム構成にしやすく、グロースしやすい拡張性が得られるでしょう

柔軟にコンテンツの型を生成できる

実は WordPress もヘッドレス CMS として、使えるようになっています。すると、こんな疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。

だったら、WordPress で良いのでは?

確かに WordPress もヘッドレス CMS として使えます。しかし、WordPress で新しいコンテンツの型を作ろうとすると、コーディングが必要で手間がかかります。

ヘッドレス CMS なら、コンテンツの型を柔軟に生成できる上、バリデーションといった細かいチューニングもしやすいです。

まとめると、WordPress よりもヘッドレス CMS の方が、コンテンツ管理の汎用性が高いため、用途の幅が広がります


一旦、ヘッドレス CMS のメリットをまとめます。

  • 圧倒的な Web パフォーマンスを実現しやすい
  • 開発陣への依頼コストを削減できる
  • サーバーの保守・運用コストを削減できる
  • セキュリティリスクを抑えやすい
  • 既存サイトやアプリへの CMS 導入が簡単
  • 複数デバイスに配信できる
  • 変化に強いシステム構築にできる
  • CMS の開発工数を圧倒的に削減できる
  • 柔軟にコンテンツの型を簡単を生成できる

ヘッドレス CMS のデメリット

ここまで、数多くのヘッドレス CMS のメリットを紹介しましたが、当然デメリットもあります。

  • 見た目の開発が必要なため、初速が遅い
  • 非エンジニアでは、真価を発揮しにくい
  • プレビューの実装が必要

それぞれ順番に解説します。

見た目の開発が必要なため、初速が遅い

ヘッドレス CMS を採用する場合、見た目の開発が必要です。そのため WordPress と比べて、立ち上げのスピードが遅くなります

以下のようなケースの場合に、ヘッドレス CMS を採用すると、良いでしょう。

  • 初速よりも長期的な運用を優先
  • 開発リソース(外注含む)がある

非エンジニアでは、真価を発揮しにくい

ヘッドレス CMS の真髄は運用(グロース)時の柔軟性と拡張性です。オペレーションが改善されるだけでなく、仮説検証を高速で繰り返せることで、ビジネスをより大きくできます

この仮説検証の "検証" を高速で行うには、エンジニアのスキルが必要です。非エンジニアがいない組織の場合、ヘッドレス CMS を採用した時の恩恵がやや薄れてしまいます。

プレビューの実装が必要

ブログなどの文章コンテンツを公開する時、現場ではプレビュー機能(公開前に見た目を確認できる機能)が重要になります。公開後、予期せぬ形で見た目が崩れていたら、最悪ですよね…

WordPress などの従来の CMS の場合、プレビュー機能が最初から搭載されています。一方で、ヘッドレス CMS の場合、プレビュー機能を自作しなくてはいけません。その際に、開発が面倒なケースがあるため、注意しましょう。


ヘッドレス CMS のデメリットをまとめます。

  • 見た目の開発が必要なため、初速が遅い
  • 非エンジニアでは、真価を発揮しにくい
  • プレビューの実装が必要

おわりに

以上です。まとめになります。

  • ヘッドレス CMS には従来の CMS にない魅力的なメリットが多数ある
  • ヘッドレス CMS の強みは、運用時の柔軟性と拡張性があること
  • ヘッドレス CMS を最大限活用するには、エンジニアのスキルが必要

ヘッドレス CMS の理解を深める参考になったら幸いです。

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