WordPress を使わず、面倒でも Web メディアを開発した理由

2021.11.27

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WordPress を使わず、面倒でも Web メディアを開発した理由

本メディアは使い勝手の良い WordPress をあえて使わず、手間がかかる『見た目をゼロから開発 + ヘッドレス CMS』の JAMstack 構成 (後日に解説)にしました。

本記事では、初速が遅くとも脱 WordPress にして、JAMstack 構成にした理由を紹介します。

本記事は WordPress を全否定するものではありません。むしろ、私は WordPress も5年以上使用しており、素晴らしい CMS と自負しています。 WordPress の限界を知り、目的にあっているかどうか、判断する1つの材料になれば幸いです。

【大前提】WordPress のメリットは魅力的

大前提として、WordPress には多数の魅力的なメリットがあります。

  • コードをイジらず、Web ページの作成や編集が可能
  • 魅力的な多数のテンプレート
  • プラグインによる機能の追加
  • カスタマイズの自由度が無限大
  • マネタイズ(収益化)の手段が多い
  • ユーザーが自社コンテンツに集中できる環境

引用:【オウンドメディア視点】WordPress のメリットとデメリットを解説【ブログ含む】

専門知識がなくても、WordPress を使えば、Web 系のコンテンツを簡単に作成・編集できるため、多くのユーザーから人気を博しています。

wordpress 仕組み_シンプルな説明 出典:【初心者向け】WordPress とは?特徴や仕組みなどをわかりやすく解説

国内外で WordPress は圧倒的に人気

使用されている CMS(コンテンツ管理システム)の中で、国内は 83.9%(2021.11 時点)、海外は 42.9%(2021.11 時点)という驚異的なシェア率が報告されています。

domestic wp share 出典:Distribution of Content Management Systems among websites that use Japanese(2021.11 時点)

global wp share 出典:Usage Statistics and Market Share of Content Management Systems, November 2021 (2021.11 時点)

WordPress を使わなかった理由

WordPress は使い勝手が良く、私にとって慣れ親しんだ CMS です。そのため、WordPress を使えば、Web メディアの立ち上げも 15 ~ 30 分で可能。運用もすぐスタートできます。まさに、新規事業でメディアをやるなら、うってつけの CMS でしょう

それでも、私は本メディアで WordPress を採用しませんでした。むしろ、WordPress よりも初速が遅い方法を選択。具体的には、見た目をゼロから開発し、ヘッドレス CMS の構成 (JAMstack) にしました。

人気で使い勝手の良い WordPress を、なぜ使わなかったのか。

その理由は、グロース時に WordPress では限界が訪れると感じたからです。

WordPress の限界について

以前、WordPress のデメリットとして、以下2つを挙げました。

  • 高度なパフォーマンスチューニングが難しい
  • 大きな改修や移行のコストが重くなりやすい

引用:【オウンドメディア視点】WordPress のメリットとデメリットを解説【ブログ含む】

上記のデメリットが本メディアをグロースさせる時、大きなボトルネックと感じるため、本メディアでは WordPress を採用しませんでした。

それぞれ順番に解説します。

1. パフォーマンスチューニングの限界

近年 Web 領域が著しいスピードで発展。その結果、開発コストを抑えながら、圧倒的なパフォーマンスを実現しやすい環境になっています。

Web パフォーマンスが悪化すると、ビジネス視点で以下のような悪影響が発生します。

  • 表示遅延が増えるほど、ユーザーは離れていく
  • 表示速度が遅すぎると、検索順位(SEO)に影響し、集客数がダウン

引用:Web ページの表示速度が遅いと、重めの悪影響があるので要注意

WordPress は各機能が一心同体になりやすいため、細かいパフォーマンスチューニングが苦手です。メディアが大きくなるに連れて、WordPress の中身が複雑かつ肥大化し、重くなる傾向があります。

だからこそ、Web パフォーマンスが悪化しやすいグロース時も細かいチューニングができるように、『ヘッドレス CMS + 見た目を別で開発』という構成にしました

2. 改修スピードの限界

『ヘッドレス CMS + 見た目を別で開発』にすることで、システム構成が非常にシンプルとなり、改修しやすくなります。この状態をフットワークが軽いと私はよく例えています。

その結果、グロースするための仮説検証が高速になり、更には戦術の幅も広がります。具体例は以下の通りです。

  • ユーザーに最適なレイアウトの模索
  • 新しい技術の導入
  • 他ツールとのシームレスな連携
  • Web だけでなく、アプリなどのデバイス配信
  • クリック率などの細かいデータ収集し、ユーザーの反応を数値化
  • etc

そして、このような好循環が事業のグロースを加速。ビジネスとして、絶大なポテンシャルを秘めています

仮説検証のスピード × 戦術の幅 = 事業のグロース

WordPress はコンテンツ(データ)と見た目(ビュー)が一心同体のため、改修した時の影響範囲が広くなりやすいです。また、WordPress 内の機能も複雑に絡み、バージョン管理が大変になることも

Web メディアはグロースすると、できることが増えて色々とテコ入れしたくなるものの、WordPress の改修が大変で、泣き寝入りしたことが多々ありました。(経験談)


最近では、特化した機能を提供するサービス(ヘッドレス CMS もその1つ)が増えており、様々な機能を組み合わせて、新たな価値を創出できる時代になりつつあります。

だからこそ、フットワークの軽さはより重要になり、テクノロジーの進化が著しい時代において、変化に対応できるシステムにすることは、事業の大きな武器になると自負しています。

おわりに

このような背景から、長期的な視点で事業のグロースを最大化するためにも、WordPress は使わず、初速が遅くとも『ヘッドレス CMS + 見た目を別で開発』(JAMstack)という選択をしました。

以下、まとめです。

  • WordPress は使い勝手の良い魅力的な CMS
  • 事業として本格的なメディアに育てる時、WordPress では限界がある
  • 『仮説検証のスピード × 戦術の幅』を最大化するために、脱 WordPress

脱 WordPress の理解が深まるキッカケになれば幸いです。

WordPress もヘッドレス CMS として使えます。しかし、柔軟にコンテンツの型を簡単を生成できない点で、本格的な事業として使うなら、中途半端と感じています。 詳しくは ヘッドレス CMS のメリットとデメリットを開発・ビジネス視点で解説 をご覧ください。

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